お盆の由来
おしゃか様の弟子で、神通力という不思議な力を持つ目連(もくれん)様という方がいました。
ある日のこと、目連様は亡くなったお母さんのことを思い浮かべ、天上界へ探しに行きました。ところが、お母さんの姿は見当たりません。
さらに、人間界、地獄にもいません。まさかと思って餓鬼道を探してみると、喘ぎ苦しむお母さんをみつけました。
目連様はおしゃか様に救いを求めると、おしゃか様はおっしゃいました。
「お前の母は、強欲でむさぼる心が強かったため餓鬼道に落ちたのです。
七月十五日、修行を終えた大勢の僧たちに供養をささげ、共に祈念すれば、母を救うことができるでしょう」
これを実践し、お母さんとご先祖様を餓鬼道から救うことができました。
それがお盆のいわれです。以来、お盆の行事を営み、亡き人の幸福をお祈りするようになりました。

お盆の迎え方(精霊棚)

お盆にご先祖を祀る「精霊棚(しょうりょうだな)」は、地域によって多種多様な飾り方がありますが、ここではお仏壇を利用した飾り方の一例を紹介します。

 先ず、お仏壇の前に座卓を置き、その上に真菰(まこも)、または白布を敷き精霊棚をつくります。精霊棚の上には、「お位牌」を正面に、「香炉」「花立て」「ろうそく立て」「打ち鳴らし」などをお仏壇から移して置き、お供物として季節の果物、煮物やソウメンなどの精進料理、故人が生前に好んだものなどをお供えします(お供物の内容も地域によって違います)。

 お盆特有のお供え物が「水の子(みずノこ)」と「閼伽水(あかみず)」です。まず、深めの器(深鉢やスープ皿のようなもの)を二つ用意し、その中に蓮の葉を敷きます。「水の子」は、一方の器に賽(さい)の目に刻んだ「ナス」「キュウリ」と「洗米」などを盛り、「閼伽水」は、もう一方の器に「きれいな水」を入れ、その器の上にミソハギの花を5・6本束ねた「みそはぎの束」(長さ2030p)を添えておきます。

 精霊棚をお参りする時には、「みそはぎの束」に「閼伽水」を含ませて「水の子」に注ぎます。これは餓鬼に対して飯食を施し供養して救済することを表し、この功徳が、ご先祖やあらゆる精霊の喜びとなるのです。 
 

 また、「キュウリの馬」と「ナスの牛」もお飾りします。これは「キュウリ」と「ナス」に、オガラや割り箸で四本の足をつけ馬と牛に見たてたもので、ご先祖の乗り物を表します。お盆を迎えるに際し「さあ、ご先祖、この馬に乗って早く懐かしいわが家に帰ってきてください」と、お盆の終わりには「急いで帰ることはありません。牛の背に乗ってゆっくりと仏さまの世界にお戻りください」との心を形にしています(馬と牛をワラで作る地域もあります)。 

 さらには、精霊棚の前面や四隅に青竹を立て、飾り縄を結び、その飾り縄に「ほうずき」を吊す飾り方もあります。この「ほうずき」は提灯を模したもので、迷いの闇を照らす智慧の灯火を表します。



お盆の迎え方(迎え火)

  お盆には「迎え火」「送り火」の習わしがあります。「迎え火」は、お盆入りの13日の夕方、玄関先や門口でオガラや肥え松(ヒデ)を焚いて、その灯りをたよりに精霊にわが家に帰ってきてもらおうとする歓迎の灯火です。その火を提灯に移して家に入り、精霊棚のロウソクに火をともし、お線香を供えてお参りします。また、お墓に行き、供えたお線香の火を提灯に移し、その提灯の火を家まで持ち帰って「お迎え」をする地域もあります。

お盆の迎え方(送り火)

 「送り火」は、お盆明けの15日(地域によっては16日)の夕刻、迎え火と同様に玄関先や門口で火を焚き、仏の世界へ戻る精霊の薄暗い足元を灯りで照らし、気をつけて帰ってもらおうとする見送りの灯火です。精霊棚のロウソクから提灯をつけ、その灯りでお墓まで送る地域もあります。

 ぜひ、お子やお孫と一緒にお盆のお飾りを作り、ご先祖をお迎えし、子どもたちにお盆への関心、ご先祖への思いを伝えていきたいです。